いわての新鮮力

JAいわて中央 青年部

 岩手県のほぼ中央に位置する盛岡・都南・矢巾・紫波の4地域を管轄するJAいわて中央。一帯は北上川河岸に広がる昔からの米どころだが、県都盛岡を擁するという立地から都市化も著しく進み、野菜や果樹、畜産など集約度の高い都市近郊型農業が行われている。にぎわう繁華街からほんの10分も車を走らせれば、緑豊かな田園地帯が広がる—そんなロケーションだ。

 この環境を生かし、地域内生産物の付加価値を高めていく試みが始まった。今年6月に発足した「食農立国」は、JAいわて中央管内で生産された農畜産物のブランド化を目指す登録商標名。そこには「食卓に安全・安心で美味しい農畜産物と美しい農村の風景を提供し続けたい」との思いが込められている。「食」—生活現場と「農」—生産現場が非常に近いJAいわて中央で始まったこの取り組みは、各生産部会はもちろんのこと若手や中堅生産者で構成される青年部もまた重要な『担い手』だ。そんな青年部の活動のひとつである農業研修に同行した。

 ひとくちに都市近郊型農業といっても地形や環境、土壌により栽培品目は当然ながら違う。JAいわて中央管内でいえば紫波地域は米であり、矢巾や都南、盛岡はハウス野菜や果樹などが多い傾向があるという。農業研修は毎年、青年部役員会がピックアップした品目の生産農家2〜3カ所を訪問し、盟友同士で情報交換を行うというもの。「たとえ自分の作っている品目ではなくても同じ農業者としての興味があるし、さらに部会単位ではない繋がりも出てくる期待もある」。今年から青年部委員長になった盛岡市の田村剛さんは、農業研修の意義をそう語る。今回はまず田村さんのトマトハウスを、各地域の支部長や事務局をつとめる11人が訪れた。

 田村さんが取り組むのは春のイチゴから始まりトマト、ネギ、冬のホウレンソウというローテーション栽培で、トマトは桃太郎エイトがメイン品種。ハウス内で栽培規模や今期の状況、栽培への工夫について田村さんがひと通り説明すると、参加者から質問があがる。「収穫はどうしてる?」「カゴを使ってやってるけどキツいっすね」「ハウスカーがあれば楽にできるな」。年齢の近いメンバーが集まっているからか、それぞれの考えを自由に言いあえる雰囲気だ。そして、田村さんのトマトハウスの後は市内黒川へ移動、北田孝博さんのほ場へ。りんご専業だが夏はブルーベリーを栽培しており、林に囲まれたほ場にはスパルタンなど中手の品種が生育する。今年は天候不順のため1週間遅れの7月初旬から収穫が始まり、8月中旬までが生果出荷の最盛期。メンバーは北田さんから肥料や土づくりの工夫を聞き、また選果の様子も見学し、今年の農業研修は終わった。

 このような生産技術の研修もさることながら、青年部では食農教育にも取り組んでいる。近隣小学校との農業体験を通し非農家の著しい増加を知ったという田村さんは「まずは農業に触れ、興味を持ってもらわなければ」と、毎年5月と10月には管内の小学生と保護者を対象にした農作業体験&味覚ツアーを、女性部やフレッシュ部と協力して開催している。

 現役世代のみならず、次世代を担う子どもたちにも目を向けている田村さんらJAいわて中央の若手農業経営者たち。経営と啓蒙活動の両立という高度な活動に、期待とエールを送りたい。

(取材・撮影/フリーライター 井上宏美)

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