いわての新鮮力 平泉町 りんご栽培 瀧澤真一さんJAいわて南青年部副委員長と平泉協議会委員長をつとめる瀧澤真一さん


実の付きを左右する大枝の剪定は気を使う


樹高3メートルを超える木は作業効率が悪くなる


のこぎりやハサミなど剪定の道具を腰に巻いて

 「普段から仲間には委員長として『何にでもチャレンジしろ』と言ってたんで、自分から応募したんです。でもまさか選ばれるなんて、思ってなかった」。

 そう語る表情には、当惑というよりはむしろ楽しんでいるといった雰囲気が漂う。JA岩手県青年組織協議会の2013年度「純農Boy」に選ばれた、JAいわて南青年部の瀧澤真一さん。地元では青年部副委員長と平泉協議会委員長をつとめ様々な活動に取り組んでいるが、オーデョションへの参加はもちろん初めてだ。「たぶん…コイツは変化していきそう、発展していきそうだって選ばれたのかも」。発展途上ということは、大きな可能性も秘めているということ。それは、瀧澤さんが取り組んでいるりんご栽培にもいえるかもしれない。


脚立を抱え1ヘークタールの畑内を動き回る


剪定は例年1月上旬から3月まで続く


「いいものを作る」。その思いで作業にのぞむ

 小さい頃から、祖父母のりんご栽培を手伝っていた瀧澤さん。高校を卒業後は、雫石町にあった落葉果樹農業研修所で1年間の研修を積んだ。しばらくは勤めに出ながら農作業をしていたが、納得のいくりんごがどうしても作れない。「先輩から、いいものを作るには『二足のわらじ』ではダメと言われた。(りんごを)やめて就職することも考えたけど、やっぱり自分はりんごをやりたかったんです」。4年前、勤めを辞めて専業農家になった。

 手がける畑は祖父から譲り受けた1ヘクタール。草刈り等は家族も手伝ってくれるが、基本すべて一人で作業をこなす。品種は、つがる、黄香、紅いわて、ジョナゴールド、フジ、そして5年前に苗木を導入した青林。「黄色でパリっとしていて中に蜜も入る面白いりんご。これから木を増やしていく予定です」と瀧澤さん。自分なりの経営に取り組んでいる。


3年前から実をつけ始めた青林。今後の有望品種


青林とフジ。甘さ、食感、香りの違いは驚くほど


癒しの存在、愛猫モモと一緒に

 作業の省力化・効率化のためにと、低樹高も進めている。「地上に立ったままで8割の管理が出来るのが理想。樹齢が15年程度でも脚立を使わず剪定できるよう、新しく植える時は強剪定をして横に伸びるようにします」。1月上旬からその剪定作業も始まるが、「口でいうのは簡単で…」と苦笑。「切らないと翌年枝が伸びず、切りすぎると花つきが悪い。経験が浅いので、1本の木の剪定にすごく時間がかかるんです」。先輩りんご農家のアドバイスのもと試行錯誤する日々と言う。それでも、瀧澤さんにとって農業は魅力的な仕事だ。

 「工夫次第で可能性が広がる。作るのもどうやって売っていくのかも含め、きちんと結果が出るのもいい。農業ってこんなに面白いんだ、カッコイイんだというのを伝えたいですね」。

 だからこそ、県内外で活動する「純農Boy」は大きなチャンス。「交流が広がるし、うちのりんごの美味しさも伝えたい。そして他の地域の盟友がどういうものを作り、どうやって売っているかも知りたいですね」と、春からの本格始動に意欲を燃やしている。

 全国区の江刺産をはじめ、県外で「岩手りんご」の評価は非常に高い。「それは、自分のスタイルや信念を持って作ってる人が多いからだと思う」と瀧澤さんはいう。そんな先輩やベテラン生産者に少しでも近づくため、日々、瀧澤さんはりんごと向き合っている。

(取材日/平成24年12月19日、取材・撮影/フリーライター 井上宏美)

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