いわての輝く女性

平成22年3月 雫石町 戸沢野菜菌茸直売所

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平成22年3月
雫石町 戸沢野菜菌茸直売所

建物は簡素なログハウス風の戸沢野菜菌茸直売所

 雫石町の戸沢野菜菌茸直売所は、御所湖畔から鶯宿温泉にむかう県道沿いにある。三角屋根の下に陳列棚があるだけで扉もない簡素な施設は、一見「100円みせ」などとよばれる無人販売所のよう。だがここは、メンバーが交代で常駐している有人産直施設なのである。

出荷は朝7時前。「今日は何持ってきた?」声が飛び交う

平日は近隣住民、休日には温泉帰りの客なども立ち寄る

 「人がいるからお釣りも出せるし、お客さんも留守番がいるほうが安心して買えるようです」。陳列棚横のテーブルで売り上げを計算しながら、この直売所のまとめ役、高橋千枝子さんが話す。午前11時を過ぎ、本日もそろそろ閉店なのだ。同店の営業は朝7時から昼12時頃までで、冬期間は完全休業。「無理をしないのが長続きのひけつさ」。後片付けにきたメンバーが言葉を添える。

値段はほとんどが100円。
梱包の仕方もていねいだ

撮影は晩秋。葉ものや根菜類と一緒にトマトも並んでいた

 戸沢野菜菌茸直売所の誕生は昭和62年。当時の地域活性化事業のひとつとして、町内の谷地野菜直売所とほぼ同時に開店した。「最初はよくわかからないまま参加したけど、これからは自分たちで作って売る時代が来るんだと思った」と振り返るのは、メンバーの高橋カツエさん。確かに昭和62年といえば、生産者による産直はまだほとんどなかった時代。まさに手探りのスタートだったが、品物の豊富さと新鮮さ、それに安さも評判を呼び、盛岡などからも買い物客が訪れるようになったという。やがて各所に産直が出来はじめたが、なによりまず新鮮な朝採り野菜を出すことをメンバーで心がけてきた。長年積み上げてきた実績がいまは同店に対する信頼となり、季節営業にも関わらず多くの馴染み客がついている。「漬物用の白菜を毎年注文してくれる人や、畑を見に来るお客さんもいる。『この人の作ったものがいい』と指定してもらえるのは本当にありがたいことだと思う」。高橋キミ子さんの言葉に、他のメンバーも大きく頷く。

メンバー手づくりの漬物は人気商品のひとつ

赤や黄色など、結束テープの色も各自決まっている

 店構えもさることながら、運営の決めごともほとんど変えていない。朝7時前には各自が納品に訪れ、それぞれ出荷伝票を一冊のノートに書き写す。品物を識別するのは、袋の結束テープの色と各自に割りふられた伝票番号。欠番があるのは、スタート時の15人から8人にメンバーが減ったからだが「全員が毎日出荷してくれる。今がベストメンバーなんじゃないかな」と千枝子さん。全員が戸沢地区で長年暮らし、互いの畑のことも知り尽くした仲である。またそれぞれの家族の協力もあり、親世代から子世代へ産直活動も受け継がれてきている。今では同店のほか地区内のAコープにも野菜を出荷しており、5月から11月まで行われる雫石町名物の「軽トラ市」はじめ数多くの町内イベントにも参加、時には町外からの出店依頼もあるという。地区内の安庭小学校や南畑小学校などへ給食用野菜の納品も行っている。広がってきた活動に、メンバーの高橋まるみさんは「みんながまとまっているグループだから出来ることでしょう」と、その理由を話す。

出荷伝票ノートは後の清算に使用する大事なもの

「今日はどう?」。店じまいをしながら情報交換

 「なんつうことなく、ずーっと続いてきただけだから」。活動継続の秘けつの問いへの答えは、どこまでも自然体だ。だが客の要望にはしっかりと応えたいと、全員がさまざまな工夫を重ねてきた。「大規模ではなく、とにかく種類を多くしている」と話す高橋秋夫さんは年間通して約30種もの野菜を栽培していると言い、いっぽう新品種を取り入れたり収穫期の調整に取り組んでいる人もいる。イベント出店や給食納品をこなしつつ、夏野菜の最盛期には直売所の横にテントを出すほど品物が豊富になるのは、各人のそんな地道な努力の賜物でもあるのだ。

奥様と一緒に取り組んでいる高橋秋夫さん

年代は40代から70代と幅広いが昔からの仲間同士

毎月1回開催される雫石町の「軽トラ市」にも参加している

品揃えの豊富さと安さから、同店は軽トラ市でも大人気

 「店の大きさも活動ペースも、今ぐらいがちょうどいい」と話すメンバー。新年度のスタートは田植えが終わった5月末辺りからで、例年11月の降雪前までは休むことなく店を開けている。「売るのもそうだけど、みんなと話が出来るのも楽しくて」と話すのは、まるみさん。開店を待ちわびるその気持ちは同店の馴染み客もきっと同じだろう。8人の野菜を味わえる5月が、今から待ち遠しい。

この日の当番は高橋秋夫さんと高橋キミ子さん。明るく元気な接客

戸沢野菜菌茸直売所のメンバー。左手前より、高橋千枝子さん、高橋キミ子さん、高橋カツエさん。左後ろより、高橋まるみさん、高橋秋夫さん

「戸沢野菜菌茸直売所」の場所と連絡先

住所:

〒020-0572
岩手県岩手郡雫石町西安庭第30-20-4

連絡先:

TEL.019-692-2559

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