いわての輝く女性

平成22年7月 奥州市胆沢区 産直いさわ あぐりキッズ

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平成22年7月
奥州市胆沢区 産直いさわ あぐりキッズ

株式会社産直いさわ代表取締役の星洋子さん(中央)と、取締役の渡辺明美さん(右)、千田アツ子さん

 岩手県内にある有人の産直施設数は、県の調査によると2004年の291軒をピークに08年には約250軒。少しずつ減ってきてはいるものの、依然200を越える産直が営業している訳で、一部の消費者にとっては、もはやスーパーやコンビニエンスストアのような身近な存在になっている。

遠くからでもひと目でわかるビビッドイエローの外観

農産物以外にも日用雑貨や布製品なども並ぶ

 「だからこそ新しい方向を見つけていかないと、産直も生き残っていけない」。きっぱりと話すのは、奥州市胆沢区南都田にある「産直いさわ あぐりキッズ」の代表取締役、星洋子さん。07年5月に誕生した同店は産直としては後発組になるが、星さんら中心メンバーは経営にさまざまなアイデアを盛り込み、産直の多い胆沢地域においても個性の光る施設を作り上げてきた。

揚げたての総菜。主婦にも人気の高いコーナー

米どころならではの豊富な餅製品

 株式会社化したことも、運営に臨むそんな明確な目的意識があったから。「最初は農業法人化も考えました。でも組合員が多いほど、組織はまとまりにくくなる。会社にすれば方向性や約束を決めるときも役員で決定でき、結果としていい方向に伸ばしていけると思った」。星さんはじめJA岩手ふるさと胆沢地域女性部員5人が出資し、「株式会社産直いさわ」を設立。「私は民間企業に勤めた経験があったから選ばれただけ」と、互選で社長になった星さんは笑う。会社ではあるが、以前からの仲間たちだけにチームワークはとてもいい。

ていねいで親身な接客を心がけている

韓国出身の門脇有希さんの作るキムチは大人気商品

 もとAコープ南都田店だったという店内は広いが、品揃えの豊富さでカバー。中央の平台には野菜など季節の農産物が並ぶが、負けず劣らず多いのが加工品。さまざまな餅菓子類におしゃれなシフォンケーキ、ショーケースの中には季節の野菜の漬物に本場韓国仕込みのキムチまで。さらにバイキング形式のコロッケやおにぎりなどの総菜コーナーもある。極めつけは店の最奥にある食堂で、日替わり定食はじめ麺類や丼類からケーキセットまでメニュー選びに迷うほど。ランチタイムには組合員の手づくり漬物が、なんと食べ放題で提供される。ちなみに同社に登録する組合員は現在約100人で、うち常時出荷者は30人程度。「年間栽培計画書は出してもらうけど計画栽培はしていない」と星さんはいう。生産者に過剰な負担をかけない経営はレジと食堂に従業員を置いていることからもわかるが、午前と午後に1名ずつフロアアシスタントとして生産者自身が店に立ち清掃や接客などに携わる方法も導入。組合員のモチベーション向上も忘れていない。

定食からデザートまで豊富なメニューが自慢の食堂

組合員の佐々木ヨシさんは漬物達人。「どうぞ、たべて」

 もちろん役員もフットワークは軽い。この日、店奥の倉庫では東京の「在京いさわ会」会員へ送る「宅配いさわふるさと便」の箱詰めが行われていた。とりどりの季節野菜に自慢の加工品、合計10数品を箱に詰め、胆沢の近況を記した手紙も入れる。「ものだけではなく情報交換や交流も目的だから。『今度は何かな』と楽しみにしている会員さんも多いんです」と、取締役の渡辺明美さんも箱詰め作業にいそしむ。この宅配が在京いさわ会からの提案で始まったように「声をかけられたら断らない」が基本姿勢の同社では、市内スーパーのインショップはじめ日曜日には近隣の商業施設で出張産直を行い、学校や福祉施設への給食納品も受け持っている。この春からは水沢商業高校へ昼時間に出向き、弁当や総菜の販売も始まった。さらに「人が集まる産直を」と、店舗の2階を使って布ぞうり作りやキムチ作り教室なども開催。次々に新たなアイデアを実現して来た。

シフォンケーキもブルーベリーソースも手作り

人気のシフォンケーキを作る渡辺美保子さん

 誕生から3年。「今年が、これまでの『結果』が数字で出てくる気がする」と星さんはいう。「あぐりキッズ」という名前に込めたのは「地域の活性化」「農村女性の元気向上」「子供たちへの安全安心な食の提供」という思い。それがさまざまなアイデアの源泉になり、一丸となってやってきた。

日替わりのおかずに胆沢産ご飯。大満足の「かあちゃん定食」

「この野菜はこうして食べるのさ」。組合員同士も情報交換

 「私たちの一番の願いは、地域の女の人達が元気になること。そして人が集まる場を作ること。あとそれに利益がついてくればいいんだけどねぇ」と星さんはいたずらっぽく笑う。胆沢の女性たちはじつに明るくてしなやかである。「あぐりキッズ」のこれからの挑戦が、がぜん楽しみになった。
(取材・撮影/フリーライター 井上宏美)

「宅配いさわふるさと便」。内容は生産者からのアイデアも

「産直いさわ あぐりキッズ」には胆沢の元気な女性たちが勢揃い

「産直いさわ あぐりキッズ」の場所と連絡先

住所:

〒023-0401
岩手県奥州市胆沢区南都田字本木127

連絡先:

TEL.0197-46-2632

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