いわての輝く女性

平成23年9月 遠野市 JAいわて花巻女性部 とおのよつば地域支部 じゅうねの会

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平成23年9月
遠野市 JAいわて花巻女性部 とおのよつば地域支部 じゅうねの会

左より、菊池洋子さん、田中ナオ子さん、女性部長の黒田テヨさん、菅田ツヤ子さん、菊池忠一さん

 健康食材として注目される「えごま」岩手県では「じゅうね」とも呼ばれ、昔から大豆の間作などで栽培されており、食油としてはもちろん「じゅうね味噌」や「じゅうね餅」として食されてきた。JAいわて花巻女性部でも、遠野市のとおのよつば地域支部が平成14年より本格的なえごま栽培に取り組み、平成20年には「よつば女性部えごま部会」が誕生。JA加工所に設置された搾油機でしぼった「とおののえごま油」は、人気商品のひとつになっている。

香ばしさと甘さが絶妙、大人気の 「遠野産えごま煎餅」

JA敷地内にある加工所。時間を調整して活動してきた

作業しながらも、メンバーと忠一さんの話は途切れない

 「でもイベントに気軽に持ち歩けるような特産品も欲しいという声が出て、えごませんべいでも作ってみるかとなった。けど誰もせんべいなんて作ったことがなかったから困ったね。」
 朗らかに話す、支部長の黒田テヨさん。向かいでは菅田ツヤ子さんがてきぱきとせんべいの袋詰めをこなし、窓際の焼き台では菊池洋子さんが鉄製の焼き型を操ってせんべいを焼き、田中ナオ子さんが型に入れて焼き冷ます。流れるような手際のよさとチームワークはとても素人ではない。「いやぁ働く女性だ。本当にたまげる。」4人のようすを眺めながら、やはり感心しているのは菊池忠一さん。遠野市内の老舗菓子店「鶴乃屋菓子舗」のご主人で、メンバーにえごませんべいの作り方を手ほどきした方なのである。

袋詰めの担当は菅田さん(左)と黒田さん

焼き上がったせんべいのはみ出したミミを取り除く

「背が高いから焼き担当なの」と菊池さん。黒田さんと笑顔

 せんべいの材料は、搾油後のえごまと遠野産ナンブコムギ、そして水と砂糖のみ。しかし、えごまの味を残し甘さも活かす配合にはベテランの忠一さんも苦労したという。「みんな仕事があるから夜集まって作っては試食した」と田中さんはふりかえり、「最初はべったり焼き型にくっついて大変だった。でも、絶対にモノにしなくちゃと思ってた」と菊池さんはいう。そんな情熱が実り、2年近くをかけて技術を習得したメンバーは製造グループ「じゅうねの会」を結成し、県や市、そしてJAの支援も受けて「遠野産えごま煎餅」が誕生したのである。

思った以上に生地はさらさら。黒いツブツブがえごま

型に流し入れた生地にえごまを散らして焼く

せんべいの焼き型は1時間をかけてじっくりと温める

 すべてが手作業のせんべい作りは時間がかかる。焼き型も事前にしっかり温めておく必要があり、仕事帰りの5時に集まっても3時間ほどで170枚程度を焼くのが精いっぱい。火加減に生地の具合、焼き時間でも仕上がりが変わり、しかも最初の10枚程はどうしても焼きムラや生地がハゼてしまい商品にはならないという。このていねいな仕事は味わいにしっかりと出ており、市内の産直では出すたびに売り切れるほど。遠野市長の手土産になることもしばしばで、「美味しかったから送ってほしい」という注文も舞い込んでくるという。

焼き型は特注。よつばの絵柄は支部名からのデザイン

生地がハゼたせんべい。商品にはならないのだ

忠一さんは焼き型のさばき方も熟練の技。皆は「先生」と呼ぶ

 高まる評判に対し、「でも私達はあくまで農業が中心だから」と黒田さん。「焼いて販売するのはもちろんだけど、それ以上に交流が楽しいの」と笑顔で話す。そうそう!とうなずく3人、「ここに来るといろいろ勉強になる」と菅田さんがいえば、「いこいの場でもあるしね」「いろんな発想も浮かぶし」「家族もせんべい焼きっていうと出してくれるしね」と、ポンポン会話が広がっていき、アッハハハと笑い声が響く。「ね、にぎやかでしょ」で、また大きな笑い声。先生役の忠一さんも巻き込んで、加工所からは笑顔が絶えることがない。

お土産のタオルマフラーを巻いてピース。菅田さん(左)と田中さん

「テヨちゃん」「ツヤちゃん」4人は愛称で呼び合う仲の良さ

せんべいは熱いうちに木型に押し付け、丸い反りをつける

 焼きたてのところを一枚、いただいた。カリッととても軽い食感にほのかな甘み、そしてふわ~っと香ばしいえごまの香りが口中に広がって、なるほどこれは後を引く。しかもなんだか元気がわいてくるような気までする。せんべいの中にはえごまの健康パワーに加え、じゅうねの会のみなさんの元気も入っているに違いない。
 「遠野産えごま煎餅」は5枚入り280円。市内の道の駅「遠野風の丘」と、ショッピングセンターとぴあ内「産直がんせ」で販売。

(取材日/平成23年6月13日、取材・撮影/フリーライター 井上宏美)

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