いわての輝く女性

平成25年4月 JA江刺女性部 お米シスターズ

一覧へ戻る

JA江刺女性部 お米シスターズ

手前左より、高野栄子さん、代表の佐々木祐子さん、後藤好子さん。後ろ右より、及川郁子さん、阿部昌江さん、JA江刺の菊池美智子さん

 日曜の朝7時30分。JA江刺稲瀬営農センター内の一室で、忙しく立ち働く6人の女性たちがいた。みなさんはJA江刺が誇る銘柄米「江刺金札米」の誕生88周年を記念して、平成21年に女性部の有志8人で結成された「お米シスターズ」である。営農センターやメンバーの自宅などを拠点に、地域のイベントなどで米粉を使ったお菓子や弁当などを提供して好評を博しているが、この日は大槌町の仮設住宅へ餅振る舞いに行くのである。
「美味しいものがあれば笑顔が戻るかもしれない。そうして食べながら、たまっている思いを少しでも吐き出してもらえたらいいなと思っています」。去年の12月以来となる大槌町訪問に、お米シスターズ代表の佐々木祐子さんはじめ、メンバーの思いもひとしおだ。

お米シスターズオリジナルモチダレ作り

使ったのは新米コガネモチ。美味しい餅が完成

今回はコガネモチ生産者の高橋保行さんも同行

 佐々木さんらが大槌町を訪れるきっかけとなったのは、震災のあった平成23年の7月、東京から慰問に訪れた劇団メンバーへの食事提供を頼まれたこと。食材を携えて訪れた大槌町吉里吉里地区の仮設住宅は避難所からの入居が本格化し始めた頃で、隣に住む人の顔もまだわからないような状態だった。「その時に初めて見た大槌の風景にメンバー全員ショックを受けたんです」と佐々木さんは振り返る。それからは、被災地支援を続ける北上の復元納棺師笹原留以子さんらのボランティアグループ「つなげるつながる委員会」のメンバーが大槌町で行っている「お茶っこの会」に同行し、季節の食事を提供してきた。

地区内のりんご農家高橋守さんから届いた江刺産のふじ

浪板地区にある仮設住宅の集会場に到着

仮設住宅の人々の心の拠り所、お地蔵様に手を合わせる

 この日作るのは、江刺産の「コガネモチ」はじめ江刺の食材を使った料理。甘酢のタマネギで合えた「たまねぎ餅」とあんこ餅、そしてお米シスターズのオリジナルレシピ、豆腐と白ごま、自家製味噌で作った特製ダレに餅をからめた3種の餅に、箸休めの6色なますだ。餅米は稲瀬の米農家高橋保行さんが提供してくれたもので、「コガネモチの餅はおいしい」と高橋さんも絶大の自信を持っている。コンテナ6箱分も届いた江刺産リンゴも「被災地に行くなら」と無償提供されたもの。江刺の人々の思いが、お米シスターズの活動を支えている。

餅をちぎって手早くタレにからめるチームワーク

ふわふわの餅三種。お米シスターズの自信作

箸入れや爪楊枝にJA女性グループの思いやりがこもる

 二升搗きの餅つき機をフル稼働して搗いた餅はなんと一斗! その合間に3種のタレも仕込んで、一行は10時過ぎに稲瀬を出発した。遠野を過ぎて釜石から大槌へ、車窓の風景は未だ、見渡す限りの荒野のままである。浪板地区の仮設住宅団地に入ると、まずメンバーは昨年12月の訪問時と同じように、集会所の横に立つ小さなお地蔵様に手を合わせた。

お茶会の準備には仮設住宅のみなさんも参加

餅セットと江刺産リンゴを来た方に。会話も弾む

餅とお茶、お菓子で井戸端会議。これがいい

 手早く荷下ろしを済まし、さっそく餅振る舞いの準備だ。餅をちぎりタレにくぐらせ、用意してきた容器に入れる。できた餅セットには、手作りの箸入れに入れた割り箸と、JA香川から届いた千代紙の爪楊枝入れを添えて出す。声がけで集まってくれた仮設住宅のみなさんに、北海道大学の田巻知宏医師らお茶っこの会のメンバーも到着して、集会所は和やかな雰囲気に。緩和ケアが専門の田巻医師も「日常のことを安心して話せる場を作る上で、こんな風に手作りの食べ物が登場するのは本当にいいことなんです」と笑顔を見せた。

集会所にこれないお宅にも餅を持って届けに行く

仮設住宅で2人暮らし。お餅を手にしてこんな笑顔

お茶っこの会のみなさんとお米シスターズで記念撮影

 「今度はみんなで踊りを練習してきて、みなさんに披露いたしますね!」。餅振る舞いも終了し、参加者から拍手で送られながら佐々木さんらお米シスターズは再来を約束した。出会いを大切に繰り返し訪れることで、人々との絆はもっと深まっていくことだろう。

(取材日/平成25年3月10日、取材・撮影/フリーライター 井上宏美)

インデックスページへ戻る