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平成22年7月 北上市立更木小学校

健康食材・桑を使ったうどんが登場

桑は鮮やかな緑色のため、
うどんは色みを試行錯誤

さまざまな加工品も
登場している更木桑茶

 かつては日本の養蚕業を支え、最近は葉などに含まれる健康成分が注目されている桑。岩手県でも昭和時代まで各地で養蚕が営まれた歴史があり、主要産地のひとつだった北上市北部の更木地区では桑の葉のお茶や粉末(桑パウダー)などの食品製造がいち早く始まっている。この桑を使った給食用のオリジナルうどんが登場した北上市中央学校給食センターを訪れた。
 規模の大きな給食センターを3カ所抱える北上市だが、野菜納入業者で組織された「北上学校給食納入振興会」の協力により地場農産物の利用につとめている。「そういう地域の食材のことをきちんと子どもたちに伝えるのが私たちの役目」と話すのが、中央給食センター栄養教諭の中野千春さんと佐々木瑠美子さん。アスパラや里芋などに続く地元食材として更木地区で熱心に利用されていた桑茶に注目し、中野さんが市内の製麺業者・黄金製麺に相談したのが昨年末。色や味わいなど何度もの試作の末できた桑パウダー入りうどんを用い、センターや自宅で味付けを研究、1月の学校給食週間に合わせて新献立「更木桑茶肉味噌うどん」が登場した。

アイデア豊富、そして楽しく
元気な13人の調理員さん

センターで作るのは11小学校、
1幼稚園の合計約2980食

左より、栄養教諭の中野千春さん、佐々木瑠美子さん、所長補佐の新田敬真さん

 この日は、2回目となる更木桑茶肉味噌うどんのほか、信田煮、なめたけ和え、牛乳。
 うどんの汁は味噌味にし、豆板醤やテンメンジャンを加え担々麺風にした。さらに今回は豆板醤を先に炒めて香ばしさアップ。「こうすればもっと美味しくなると調理員さんが工夫してくれる。食わず嫌いも食材や味付けに興味を持つことで減るのでは」と佐々木さんは話す。調理現場でのこんなひと手間も、給食をさらに美味しくしているようだ。
 北上市ではアスパラガス入りの「北上カレー」や「里芋カレー」も人気献立だが、中野さんはカレー同様ご飯のすすむおかずを常に意識。「食習慣を整えるためにもまずお米を食べさせたい。最終的に和食がしっかり食べられる子になれば」と食材や味付けに工夫を凝らす。また毎年5月〜7月には栄養教諭と調理師が学校を訪問して会食会を実施。「子どもたちは作っている人がわかり、私たちも子どもたちの様子がわかる」と交流を大事にする。さらに今年は給食だよりで家庭の料理レシピを募集、献立に採用するなど保護者との交流にも取り組みはじめている。

「いただきます!」
1年生も元気な挨拶

更木小では桑茶のレシピを
給食センターへ提供

担々麺風はみんな大好き。
「ほら、からっぽだよ」

ゆでうどんを肉味噌の汁に入れて。
「おいしい!」

 全校児童39人の更木小学校は、高学年が低学年の世話を自然と行う家族的な雰囲気。また運動会などの学校行事には地域の人が率先して関わってくれ、「地域の人みんなが子どもたちの顔と名前を知っている、とても結びつきの深い地域です」と先生もにっこり。「更木桑茶」も子どもたちにはおなじみの食材で、1年生でも7人のうち5人が桑茶を体験済み。「お母さんがホットケーキやプリンを作ってくれる!」「うちのお母さんは桑茶の工場で働いてるよ」と、どの学年でも元気な声が聞かれた。淡い緑色のうどんも「おいしいね!」とパクパク。具沢山のスープも飲み干した。

使われなくなった桑園を1年かけて回復させた

茶摘みは9月まで。「桑茶文化を守りたい」と遠藤原一郎さん

黄金製麺の小野寺文男さん。「北上は産物の豊富な地域です」

 桑茶を作っている農業法人・株式会社「更木ふるさと興社」は、養蚕という地域産業を支えてきた桑園を活用しようと更木の人達が出資して設立された。現在は日本でも更木だけという桑茶専門の製造ラインで茶とパウダーを製造。常務取締役の遠藤原一郎さんと訪れた地区内の桑園のひとつには樹齢30年を越す老木も含まれ、歴史を物語る。「更木の子は日本茶は飲まなくても桑茶は『おいしい』と飲んでくれる。地域に愛されていることが私たちの自信」と遠藤さんは微笑む。
 給食用の桑うどんを製造した有限会社「黄金製麺所」では、麺の選定やパウダー使用量など開発までの話を社長の小野寺文男さんが教えてくれた。自校給食時代から30年以上、市内各校に各種の麺を配達しているという小野寺さん。「子どもたちが『今日は麺だ!』と喜ぶ顔が見られるのが励み」と、安全性はもちろん北上市の産物を生かした麺づくりにも取り組んでいる。
 うどんというひとつの食材に込められた、たくさんの思い。子どもたちにもきっと伝わっている。

桑茶もおなじみ。「苦くないからおいしいんだよ」

各学年が更木の自然や歴史について学んでいる

7月には学校を会場に「桑茶まつり」が。楽しかったかな?

(取材・撮影/フリーライター 井上宏美)

家庭でも作ってみよう!

今回の材料(約4人分)
【更木桑茶肉みそうどん】
  • 更木桑茶肉みそうどん…桑茶入りうどん4玉
  • 豚ひき肉60グラム
  • タマネギ120グラム
  • タケノコ水煮60グラム
  • ニンジン30グラム
  • 大根葉(青菜なら何でも可)40グラム
  • 干し椎茸4グラム
  • かつおだし適宜
  • おろしショウガ3グラム
  • おろしニンニク1.5グラム
  • 白すりごま16グラム
  • ごま油2グラム
  • 濃い口しょうゆ20グラム
  • 赤みそ45グラム
  • 豆板醤2グラム
  • テンメンジャン8グラム
  • でんぷん8グラム
【作り方】
更木桑茶肉みそうどん
  1. タマネギは厚めのスライス、タケノコとニンジンは千切りまたは短冊切りにする。大根葉は下茹でしてカットし、干し椎茸は戻して千切りにしておく。
  2. 豚ひき肉をごま油、ショウガ、ニンニク、豆板醤で炒める。
  3. 干し椎茸、ニンジン、タケノコ、タマネギを加えて軽く炒める。
  4. 3.に濃いめにとったかつおだし汁と、干し椎茸の戻し汁を加えて煮る。
  5. しょうゆ、テンメンジャン、赤みそを加える。
  6. すりごまと、下茹でしておいた大根葉を加える。
  7. 水で溶いたでんぷんでとろみをつけ、調味して完成。

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