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平成23年1月 花巻市立宮野目中学校

楽しみながら学ぶ、地域の伝統と食物

みんなで作る。形は不揃いでもそれも楽しい

別室で開かれた「お茶作法体験」。講師は鎌田英雄先生

初めてのお手前にドキドキ。いい体験になったようです

 東北自動車道と東北本線、国道4号線が南北に走り、その東側に広がるいわて花巻空港。交通拠点というべきロケーションを有しつつ、そばには広大な田畑が点在する花巻市北部の宮野目地区。都市と農村の要素を合わせもつ、そんな地域の子どもたちが通う宮野目中学校では日本文化や郷土の伝統を学ぼうと、3年生が総合学習の時間を使った「伝統文化体験学習」を開催している。コースは「郷土料理体験」「お茶作法体験」「炭焼き体験」など5コースあり、いずれも全5回の日程で地域の大人たちが講師になって指導するというものだ。今回は、学校そばの宮野目振興センターで行われている「郷土料理体験」を訪問した。

齋藤洋美さん。「命のたいせつさも伝えています」

郷土料理体験コースには3年生6人が参加

齋藤さんから調理の段取りを聞く。男子も興味津々

 講師をつとめる齋藤洋美さんは花巻市食生活改善推進員協議会会長であり、JAいわて花巻では食育リーダー「花巻まんまーず」の代表をつとめる食のベテラン。参加した6人の生徒を前に調理の手順を説明…と思いきや、ホワイトボードにまず大きく書いたのは「食=命」の文字。「みんなが今ここにいるのは、食で命を受け継いできたから。それを覚えておきつつ、みんなの年齢に必要な食育について考えていこうね」。さらに宮沢賢治の詩「農民芸術概論」を紹介し、賢治の実践を大事にする精神に学ぼうと呼びかける。これまで数多くの料理講習会を見てきたが、このような話から入るのは珍しい。「なぜ食べるのか、体にいいのかなどの『理論』がわかると家庭でも取り入れてくれるようになるんですよ」と齋藤さん。講習会を重ねるなかで得た実感なのである。

花巻市食生活改善推進員協議会のメンバー

粉を練ってまとめてだんごに。「うまく出来た!」

茹でると、白・茶・緑と素材の色がひときわ際立つ

 この日の献立は、3種類の白玉だんごときゅうりの漬物。
 岩手県の郷土料理のひとつは穀物を粉にして練っただんごなどの粉食で、おもに県北や県央部で食べられている。今回は、基本の白玉だんごのほか桑茶や雑穀粉も使って3種のだんごを作っていく。3つの調理台に分かれた6人をサポートするのは、齋藤さんほか花巻食改協の地区リーダー3人と、宮野目中の小原ひとみ先生と学校栄養職員の菊池るみ子さんだ。ヒエ、ハトムギ、黒米、赤米、イナキビ、アワを使った雑穀粉は淡い茶色をしており、桑茶は鮮やかな緑色。それぞれ白玉粉とつなぎの絹ごし豆腐と一緒によくこねて、ひとくちサイズに丸めていくのだが、粘土細工みたいな作業は純粋に楽しそう。「誰でもできることが基本なので、シンプルなメニューを提案している」と齋藤さんはいう。雑穀粉も桑茶も県内で作られたものを使っており、だんごにかける小豆あん・ゴマだれ・ずんだあんは齋藤さんらがあらかじめ作ってきてくれたもの。漬物としそジュースも手づくりだ。「おいしいっス」。だんごをほおばる6人に、齋藤さんらも笑顔で応える。地場のものを使ってみんなで作った料理をみんなで食べる、これ以上の食育はないだろう。

「ゴマだれをかけて…」。盛りつけはきれいに

タレとの取り合わせも楽しい3食だんごと漬物

後片付けもみんなで行う。これも大事なこと

 齋藤さんらはこれまで、ひっつみやおこわ、さんぶつ(酢の物)などの伝統的な料理を、時にありのままに、また現代風にアレンジし、食べて受け継ぐ郷土食のよさを料理講習会を通して体験してもらってきた。
 「毎日食べるおにぎりとおつゆでいいの。自分のできる範囲で、生活を楽しむ方法のひとつとして食を考えてもらえばいいんだから」。齋藤さんはいう。
 都市はもちろん農村部に住む子どもたちですら、食を育む農業という仕事に触れ合うことが少なくなっている。それゆえ宮野目中でもJAいわて花巻の協力のもと餅米づくりなどに取り組み、また給食でも花巻地区の給食物資納入組合を通じ、地場農産物をできるだけ使うようにしている。以前から地産地消をテーマにした料理講習会を各所で開いている齋藤さんも「岩手のすごさを子供のころからインプットしておきたい」と、今回の体験学習のような取り組みにも積極的だ。
 花巻では農のことや食への意識の高い人々が協力し、子どもたちの健康と将来を支えている。

部活動で忙しい3年生。料理講習は楽しかった?

「うちでも作ってみようかな」と嬉しい反応も

3年生6人、講師のみなさんで記念写真

(取材日/9月1日 取材・撮影/フリーライター 井上宏美)

家庭でも作ってみよう!

ミレット白玉の黒ゴマだれだんご※本文で紹介した料理とは違います
【材料/約4人分】

ミレット白玉の黒ゴマだれだんご

  • 白玉粉80グラム
  • アマランサス粉大さじ2
  • 絹ごし豆腐100g

黒ゴマだれ

  • 練りゴマ大さじ1
  • きな粉小さじ2
  • スキムミルク大さじ2
  • 砂糖10グラム
  • 片栗粉小さじ2/3
  • 水80ml
【作り方】
  1. 鍋に黒ゴマだれの材料を入れ、よく混ぜてから中火にかける。フツフツとしてとろみがついたら火を止める。
  2. ボールに白玉粉とアマランサス粉、絹ごし豆腐を入れて、しっとりするまでよくこねる。まとまったら食べやすい大きさに丸めて、真ん中をへこませる。
  3. 沸騰したお湯に(2)を入れ、浮き上がってきたら冷水にとり冷やしておく。
  4. だんごはよく水気を切って器に盛り、(1)のたれをかけて完成。

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