作文部門
岩手県教育長賞
氏 名 学校名・学年 作品名 該当JA
中嶌 歩 一戸町立奥中山中学校2年 「大地からの贈り物」 JA新いわて

大地からの贈り物

中嶌 歩
一戸町立奥中山中学校2年

 大きな水面に映る緑鮮やかな木々と、白い雲浮かぶ真っ青な空。絵葉書のような美しい日本の風景は、お米と深い関係があります。
 雨や雪は山の地面にしみ込み、土の栄養をたっぷり含んでから川へと流れ、その栄養分いっぱいの水を田んぼに引き込む事で疲れた田んぼの土は、よみがえります。同じ地で連作ができる唯一の穀物だと言えます。
 稲も麦も酸性の土壌にはとても弱く、毎年同じ水田で長い間連作できるのは、きれいで安全な水があってこそ。長く休耕した田んぼを再び戻すには、想像できない程大変な労力と時間が掛かるでしょう。生産調整は大切な事だと思いますが、減反政策がもたらす問題点はないのでしょうか。母方の祖父母の家は減反政策の際、田んぼは雑穀畑へと姿を変え今は、他の農家の方が牧草をまいて管理しています。もう田んぼには戻せません。
 「平成米騒動」と名付けられた平成五年の記録的冷夏を私は知りません。全国で五百以上の銘柄があるにもかかわらず、どの県でもお米が取れず、タイ米、カリフォルニア米に主食を助けて頂いたと母に教えてもらいました。大きな米農家さんへ泥棒が相次いだそうです。今の私には、レストランや給食で外国のお米が出される事を想像することができません。
 縁起がよいとされ、節分に並ぶ食材鮮やかな恵方巻。残ったものは食品ロスとして廃棄されてしまいます。「米騒動」を体験しているのに大切に育てられ、出荷されたおいしいお米が捨てられる。悲しみがこみあげます。
 予約制にする、家庭で食べられる分だけを作る、あるいはこども食堂や残業の多い会社で食してもらい捨てない未来になったら良いな。と強く思います。実は、給食でだされるご飯の量が少し多く、食べるのに時間が掛かる私は完食がとてもむずかしい毎日です。食べられる量だけよそえたらお米に対しても農家の方々に対しても失礼ではないのに。と心で思っています。「残してごめんなさい。」ご飯給食の際いつも感じる罪悪感です。お米の大切さを忘れてはいけないと思います。
 私が物心ついた頃には、すっかり腰が曲がっていた祖母。少し高い所に育ったきゅうりやトマトの収穫は大変そうでした。祖母は私や亡くなった祖父の為にメロンやスイカも毎年大切に育ててくれています。以前は、その場で力を込めて引きぬいた人参を冷たい井戸水で洗って食べていた野生児だった私。「宝の山だね。」と言っていたのに小学校高学年頃から祖母の畑へ手伝いに行っていないのがとても悔やまれます。
 担い手さえいれば、ずっと田んぼもやっていたでしょう。畑の規模も広いまま、ところせましと色とりどりの野菜があったと思います。
 農家の皆さんを取りまく今の環境はとても厳しいといえるでしょう。
「つや」「味」「かおり」「粘り」「かたさ」の五つで「おいしいお米」は決まるのだそうです。もちろんご飯を炊いた人が込めた愛情もあると思います。一粒に五つものおいしさがぎっしり詰まっている食材は、お米だけだと言えます。
 田んぼの稲は、猛暑に耐え、豪雨に負けず真っ直ぐにぐんぐん伸び、ずっしりと重そうに垂れています。黄金色に色付くまでもう少しです。この忍耐力だけにでも特Aをつけてあげたい気持ちでいっぱいです。「色とりどりの安心と安全をご馳走様でした。」と手を合わせる。稲作や農業にたずさわるすべての人に感謝を込めて、そして大地が与えてくれる自然に敬意の心をいつまでも持ち続けたいと思っています。
 絵葉書のような風景が来年も見られますように。

 
ウィンドウを閉じる