作文部門
岩手県教育長賞
氏 名 学校名・学年 作品名 該当JA
菊池 咲希 一関市立一関小学校5年 「じいちゃんのお米」 JAいわて平泉

じいちゃんのお米

菊池 咲希
一関市立一関小学校5年

 七月二十八日、ずっと大雨が降っていた。
 私が心配だったことは、二つ。一つは、私の家のこと。去年の台風の時に避難したことがあったので、水が上がらないことを祈っていた。もう一つは、田んぼのこと。じいちゃんの田んぼは、とっても広く、北上川にも近く、水路もたくさんあるからだ。
 二十九日の朝四時ぐらいに、じいちゃんから電話がかかってきた。
「大変だ。田んぼに水路と北上川からあふれた水がきて、田んぼが川になっている。」
と、あきらめたような声で話していた。私は、時間がたてば元に戻るだろうと思っていた。
 しかし、七時頃にばあちゃんと田んぼを見に行くと、私の考えとは違う光景があった。いつもなら、遊水地に青々と広がる田んぼは、道路や水路が十の字になって見える。でも、昨夜の大雨で道路や田んぼは水であふれかえり、身動きできない状態になっていた。
 そんな状況の中でもじいちゃんは、トラクターを堤防に上げるなど、できることをてきぱきやっていた。じいちゃんの前には、田んぼに入ってしまった車が見えた。私は、とてもびっくりした。じいちゃんに聞くと、夜、暗い中で田んぼを守っていた人の車だそうだ。乗っていた人の行方が分からないと聞いて、私は不安になった。
「じいちゃんは、そのことを知っているのに、何で逃げないの。」
と、とっさに聞いていた。すると、じいちゃんは落ち着いた声で、
「じいちゃんは、一関市で一番米を作っている。もし、この米ができなかったら、じいちゃんの米を買ってくれている人が困るだろう。自分のためだけじゃなく、じいちゃんの米を待ってくれている人のためにも、がんばらないとだめなんだよ。」
と、教えてくれた。じいちゃんが米のためにどんなにがんばっているか、米を届けられる時のうれしい気持ちが伝わってきた。
 私は、弟と一緒に、
「何か手伝えることはない。」
と聞いた。
 じいちゃんは、
「もう手伝ってもらえるような年になったんだな。」
と、とても喜んでくれた。
 田んぼに入ったごみを取りながら、私は、
「じいちゃん、これからも米作りをがんばってね。ずっと、応援しているからね。」
と言った。手伝うことができて気持ちがすっきりした。じいちゃんはえらいなと思った。
 じいちゃんにとって、お米は家族と同じだと思う。米作りのことは何でも知っているし、夜も田んぼのそばにいて、寝ないで水の管理などをしているからだ。
 夜、出てきたご飯は、光って見えた。白い米粒に、じいちゃんの笑顔が重なった。

 
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