ログハウス風の外観と広い駐車場を持つ軽米町の産直施設「ミル・みるハウス」は、観光バスも立ち寄る人気スポット。施設内は2つに分かれ、一方は特産の軽米牛や雑穀料理が評判のレストランに、もう一方が地場野菜や加工品を販売する産直になっている。

国道340号・395号沿いにある「ミル・みるハウス」
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野菜や花卉類などのほか、奥の冷蔵庫では多彩な加工品を陳列
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レストランと産直の間には休憩所があり、その一画の加工室には石臼式の大きな製粉機が置かれていた。「粉ひきの意味の『ミル』と、目で『見て』いいものを買って欲しいという言葉を合わせたの」。産直を運営する「ミル・みる会」代表の中道ハルエさんが、名称の由来を教えてくれた。

産直の一画の雑穀コーナー。豊富な品揃え
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製粉機。乾麺や生麺も施設で販売されている
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平成10年に結成された「ミル・みる会」には、町内の生産者48人が参加。店内には野菜やリンゴをはじめ手作り加工品などの地場産品が並び、豊富さに目を見張る。とりわけ充実しているのがそばやアワ、キビなどの雑穀類だ。

ゆうパックでも販売される「雑穀ポン菓子詰め合わせ」
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質の良い雑穀を少量ずつ袋詰めで販売
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看板商品は、その雑穀を使ったポン菓子類。「どこにもない商品を作ろう」と加工部会を組織し、玄米ポンにエゴマを入れた第一号商品を完成させた。さらに米やアワ、ヒエなどもポン菓子にした「五穀ポンせんべい」、煮干しを使った「にぼしポンせんべい」も開発。昨年からは「えごまおこし」や、さとう味・しょうゆ味・カレー味の3種の「五穀おこし」も登場した。

なべでおこし用の調味料を溶かす。配合や煮詰め具合は熟練の技
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はちみつや砂糖が溶けたらポンを投入し、手早くまとめる
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熱いうちに型に詰め、上から圧力をかけて整形
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余熱が残るうちに切り分ける
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ポン菓子は産直に隣接する加工場で製造されている。中には大きなポン菓子製造機と、圧力をかけてせんべいを作る機械のほかは小さなコンロやシーラーパック機などがあるだけ。「商品は素材をポンにするところから全部手作業。最初は機械の温度調整や圧力の上げ方がうまくいかず壊れたり固まらなかったりと失敗の連続。作っては投げ、作っては投げ…でした」と中道さん。雑穀のポン菓子製造はほとんど例がない。ゼロから取り組んだオリジナル商品は、県の「ふるさと食品コンクール」で優秀賞を受賞するなど評判を呼び、今冬は岩手県特産品として歳暮用ゆうパックにも採用された。

ポン菓子製造機で素材の種類ごとに加工する
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せんべい製造機で一枚一枚作る。手間のかかる作業
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「まず食べて」。中道さんから出来たての五穀おこしを頂いた。さっくり軽い口当たり、はちみつの優しい甘さと一緒に雑穀の風味が口の中に広がる。「ビタミン豊富な雑穀は健康食。これからも、カシオペアで雑穀といえば『ミル・みるハウス』と言われるような商品を開発していきたい」と中道さん。すでに雑穀入りくしもちをはじめ青豆の味噌、町内産大豆を使用した豆腐や湯葉など数多くのオリジナル商品が店に並んでいるが、それも「色々な作物を作る会員がいるから出来ること」という。また「チラシにお金をかけるより出かけていこう」と、イベントにも積極的に参加している。

「ミル・みる会」の雑穀を利用した「彩穀定食」はレストランの人気メニュー
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左手前から、池端時子さん、中道ハルエさん、上山りえさん。後ろ左から、滝沢恵子さん、高澤愛子さん、福田英子さん
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「ミル・みる会」メンバーの元気は、まさに雑穀パワーのお陰といえそうだ。
営業時間は9時〜18時(4月〜9月は19時まで)、定休日は毎週木曜。
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